『この国でそれでも生きていく人たちへ』――日本の重税構造とその理不尽さを読み解く

『この国でそれでも生きていく人たちへ』(講談社+α新書)をブログで紹介するための解説

森永卓郎・森永康平による本書は、激動の時代を生き抜くための知恵と心構えを、親子対談形式で語り合う一冊です。特に日本社会の「重税」問題については、現場感覚と経済アナリストとしての鋭い視点から、現状の矛盾や理不尽さを浮き彫りにしています。

日本の重税――その「おかしさ」と現実

国民負担率の異常な上昇

日本では、国民負担率(税金+社会保険料の合計)が2022年に47.5%と、実に「五公五民」(収入の半分近くが国に取られる)に迫る水準にまで上昇しています。

この負担増の主な要因は、2014年・2019年の消費税増税による税負担の急拡大です。

消費税の「逆進性」と経済への悪影響

消費税は、所得に関係なく一律に課されるため、低所得者ほど生活への負担が重くなる「逆進性」が指摘されています。

さらに、消費税率引き上げは、個人消費を冷え込ませ、景気悪化や中小業者の経営悪化を招いてきました。

「二重課税」の実態

ガソリンや酒、たばこなどには、個別の税金が課されているにもかかわらず、その税金を含んだ価格にさらに消費税がかかる「二重課税」も大きな問題です。

たとえばガソリンの場合、ガソリン税を含む価格に消費税が上乗せされており、消費者は「税金に税金を払う」構造になっています。

社会保険料の重さ

日本の「重税感」は、所得税や消費税だけでなく、社会保険料の負担が大きいことにも起因します。

国民健康保険や年金保険などの社会保険料は、医療や年金制度を支えるために不可欠とはいえ、現役世代や若者にとっては重い負担となっています。

重税がもたらす社会への影響

  • 手取り収入の減少により、消費が冷え込み、企業の売上や人件費も圧縮される悪循環が続いています。
  • 国民負担率が1%上がると経済成長率が0.3%低下するという分析もあり、重税が日本経済の成長を阻害している現実があります。
  • 特に消費税増税は、バブル崩壊後の景気低迷や格差拡大、若者の貧困など、現代日本の社会問題を深刻化させてきました。

本書のメッセージと「生き抜く知恵」

森永親子は、こうした「重税国家」の現実を冷静に分析しつつ、絶望せずに生き抜くための知恵や心構えを提案しています。

政府やエリート層による搾取、階級社会の固定化、自己責任論の蔓延など、現代日本の「おかしさ」に真っ向から切り込み、「それでも生きていく」ための現実的なアドバイスを展開しています。

まとめ:なぜ今この本を読むべきか

  • 日本の重税構造の理不尽さや、その社会的影響を知りたい方
  • これからの日本社会でどう生き抜くか悩んでいる方
  • 政府や社会の「おかしな仕組み」に違和感を持っている方

にとって、本書は必読の一冊です。森永親子の率直な対話を通じて、「重税国家・日本」で賢く生き抜くためのヒントを、ぜひ手に取ってみてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました