消える労働者、崩れる社会基盤…『8がけ社会』が描く未来像

タイトル8がけ社会 消える労働者 朽ちるインフラ
著者朝日新聞取材班
出版社朝日新書

「8がけ社会」とは何か?

本書が提起する「8がけ社会」というキーワードは、人口減少や高齢化が進む日本社会の未来像を的確に表現しています。「人も経済も8割程度の力しか発揮できない社会」を意味し、少子高齢化の進行による労働力不足、インフラの老朽化、そして地域格差がもたらす現実が詳しく描かれています。

特に印象に残ったポイント

1. 消える労働者

人口減少の影響で、日本は深刻な労働力不足に直面しています。

本書では、働き手が減少する中で、どの産業が影響を受け、どのような対策が必要かを具体的に解説しています。

特に地方の中小企業や医療・介護分野での人手不足の実態がリアルに描かれており、読者に危機感を与えます。

2. 朽ちるインフラ

全国各地で進むインフラの老朽化問題についても、詳細なデータと現場取材を交えて紹介されています。

メンテナンス予算が不足する一方で、地方自治体の疲弊が進み、インフラ崩壊のリスクが現実味を帯びていることが理解できます。

3. 地方の衰退と格差拡大

地方の人口減少による地域経済の衰退が、社会全体の活力を削いでいる様子も描かれています。

「8がけ社会」において、地方と都市の格差がさらに拡大していく現状に、どのように対応するべきかを考えさせられます。

読後の感想

本書は、データに基づいた冷静な分析と、現場取材に基づくリアルな声が印象的です。

「未来予測」というよりも、既に進行中の問題として描かれているため、読むほどに現実が迫ってくる感覚があります。

一見難しそうなテーマですが、具体的な事例を交えているため、社会問題に詳しくない人でもスムーズに理解できます。

おすすめポイント

データと現場取材の融合:豊富な統計データと現場からの生の声で、日本の現状をリアルに把握できます。

地方自治体や中小企業に興味がある人必見:人口減少とその影響を地域単位で深掘りしている点が特徴的です。

行動を促す一冊:「何かしないと未来が危ない」というメッセージがストレートに伝わってきます。

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